原作ありきで映画やドラマが公開されるとき、その作者の過去作を掘り下げたくなってしまう。
吉田修一さんの作品を初めて読んだのはan·anだったと思う。あれって何年前だろうと思ってwikiで調べてみると、2003年の春だった様。確か、雑誌の中に本誌とは別の素材の紙で出来たものが綴じ込みになっていたような記憶なんだけど···違っているかも···?でもそんな風に、特別扱いをしたくなる作品だった。
そのタイトルは、「日々の春」。すごくドラマチックなわけではないし、かといって日常にありそうかと言われれば、そうでもないような。情景描写はすごくおしゃれで、今読むとこそばゆい感じもするけれど。恋愛しているときの感じってそうだったかもなんて、懐かしく思ったりもする。終わり方も余韻を持たせていて、ちょっとフランス映画っぽい。そういうところも好きだ。
主人公は女性。この作品を書いているのは、男性。単行本の『キャンセルされた街の案内』に入っている別の作品では、男性が主人公で私の理解が及ばないところもある。そういうのは関係ないかもしれないけれど、吉田さんの思考回路が気になる。野木さんに感じたのと同じように。作家の人って、どんな風に物語を作り出しているんだろう。
今度また、吉田さんの原作が映画化される。『太陽は動かない』がそう。これまでも原作の映画は幾つか観てきたけれど、実はちょっと苦手なものもある。今回はどうだろう。
私は現実にありそうだったりあったらいいなと思える心理描写が深いもの、そして視覚的に痛々しい描写がないものが好みなんだと改めて思う。
『太陽は動かない』の心理描写は深そう。とりあえず、原作、映画、ドラマ···どれから触れようか。